甘受する体
A道化





此の地面は
匂いも、何も
残らない性質です


此処にいることを示せず
湧き上がること溢れることを戒めてゆく動作が
結果的には
瞬きです


此の地面は
風へと
躊躇いもなく放熱する性質です


此処にいることを示さず
わたしが言葉を飲み込む、その微音が
結果的には
呼吸です


ああ
木漏れ日を
与えられてゆき
空を示す青とのコントラストの為に生まれた銀杏の
木漏れ日を与えられてゆきわたしは、与えられるだけで
何も示さず、何も示せず


区切られた光を更にささやかに、瞬きと呼吸、瞬きと呼吸
瞬きと呼吸で、更にささやかに区切りながら、ただ浴び
浴びては何らかの影を落とすことだけが
一人分の、此の地面にいることの
結果の全てです



2005.11.23.


自由詩 甘受する体 Copyright A道化 2005-11-23 15:31:32
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