Aquilo
本木はじめ

僕らって何億個もの細胞を失う為の焼却炉だね
                          ピッピ


                                


天気雨のようにあなたは現れて見えない傘をさす真似をする


歯車のひとつに過ぎぬと言われ空回りするぞと誓う冬の日


廃校の窓に貼られたガムテープ二度と夜空が割れないように


ぶつかった僕もちんぴらあなたとは違う世界の言語と意味で


せつなさよ、父にもらったタイガース優勝セールのタオルの虎よ


「会ってみたいひとは誰?」ってコンビニのレシート入れを考えたひと


来世は害虫でもドラゴンでもいいから。すぐに殺されてもいいから、飛んでみたいの


生きていることを確かめたくて冬空の真下で剥いたさかむけ


白髪の巨大な鬼のごとく在れ冬の孤島の廃れた校舎


凍りつくきみの瞳もマスカラも冬の洗礼ごときの前に






短歌 Aquilo Copyright 本木はじめ 2005-11-20 21:06:25
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