かえりみち
藤谷杏子

夕方 帰り道
裏口のドアを開けて夕暮れの中外へ踏み出すと
あっという間に自分のまわりを浸していく冷えた空気

吐き出す息は白い いつの間にか冬
不意にセーターとコートにまもられた二の腕が寂しくなって
寒いと感じるよりも先にふるえる

だから誰かに抱きしめてもらいたくて
誰もいないのに寒いと呟いてみた


自由詩 かえりみち Copyright 藤谷杏子 2005-11-18 09:40:58
notebook Home 戻る