たもつ


メロスが走っていた頃
大半のメロスは
走ってなかった
セリヌンティウスが王に囚われていた頃
大半のセリヌンティウスは
自由に街を往来していた
少年の青白く細い指は
ページをめくり続ける
昨晩、スタンドの光に誘われて来た
小さな羽のある虫をその指はつぶしたが
今ではきれいに洗われていた





自由詩Copyright たもつ 2005-11-18 08:47:28
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