『ドリス、優しくて』
プテラノドン

シャンプーハットをかぶる男の髪が、
全部抜け落ちてしまえばいいのに―と、
ドリスは星に願った。次の日、その男が
頭を掻くと髪がごっそり抜け落ちた。
ドリスは彼が風邪をひかないように
毛糸の帽子を編んだ。失敗したところには、
食べかけのパンをねじ込んだ。
「編物って楽しい!」彼女にとってそれは
新しい発見だった。その帽子を被って歩く男は、
頭めがけて飛んでくる鳥達を追い払うのに必死だった。
それも最初だけで、諦めたように帽子を投げ捨てた。
鳩はくすくす笑いながらパン屑を食べると
どこかに飛んでった。
男はもじゃもじゃになった帽子を拾い上げると、
厄介な女を持ったものだと、感慨深げに
キンタマをふくらましながら家に帰った。


自由詩 『ドリス、優しくて』 Copyright プテラノドン 2005-11-15 21:19:38
notebook Home 戻る