浮遊した土葬
奥津強




浮遊するのは 短い 手である
切り取られている それらは
いなくなった 僧侶であり
僧侶の 泥の数珠である

浮かび上がるのは 指先である
アスファルトの 教義に
道徳の 邪教徒
あまりにも 生霊が 友人を
欲しがっているので
僧侶の 土葬が 始まる

姦淫を 穴に 埋める
のは
私の 役目であり
その中の 不道徳性は
皆 僧侶の 読経である

悪意が そろそろ 自殺するので
穴ぐらに 帽子を 放り投げた
それすらも 手によって
取り上げられ
浮遊するのである

そして 僧侶の 嗚咽が 聞えると
浮遊した 手は 折れ曲がり 信徒達は 穴を 掘り始める


自由詩 浮遊した土葬 Copyright 奥津強 2005-11-15 16:55:11
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