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馬野ミキ

幹さんの詩のファンです、もしよかったらわたしの詩をみてください
という
要約すると、というようなメールがきたので
連絡をとって新宿で会うことになった
こういうメールがたまに来るようになったがたいがい半分は手首に線が入ってて
あとの半分は別に俺じゃなくてもよかった
手前勝手な自尊心を満たしてくれる相手なら誰でも
いかに楽をして気持ちよくなれるか
それが彼女たちの人生におけるメインテーマだ
じゃあ今回の女の子はいままでの子と違ったのか?
知らない
高松から美容師を目指して去年の春に来たという
飢えていたのだ。

約三十年、スーパーで買物を続けてきたが狩猟本能は常に俺を悩ませ続けた
くるっと曲がって内っかわに向かう動物の角
やってみたいと思うSEXは、
一、死体とやること
一、首を締めながら挿入して射精と同時に殺してしまうこと
俺たちは東口交番で落ち合い、彼女がホットペッパーで見つけたというイタリアンのお店にいった
セリエAの奴等が食ってるおかずだろう
俺たちは知らない名前の料理を食べた
それはディナーだ
俺はワインをのみながらそいつのポエムをよんだ
最悪だった
だがいい体をしていた
少し前かがみになると豊かな胸の谷間がみえた
最高だった
網タイツをはいていた
脚を組んでいた
まつげが長かった
爪に薄い水色のマニキュアを塗っていた
いい匂いがした
下唇があつかった
俺はその最悪な詩のなかから
そのなかでももっともよい部分と、普通に最悪な部分をわかりやすく彼女に伝えた
彼女は初対面で無理やり詩を読ませてしまってすみませんと俺に謝った
それからもう一本ワインを開けようということになった
俺たちは笑顔で乾杯した
悪い気はしなかった
俺はテーブルのしたの彼女のまんこを爪先でつついた
彼女は一瞬驚いた顔をしてレジの方に妙な合図を送った
するといきなり辺りがあわただしくなってロンドンブーツやカメラクルーや梨花や真鍋かをりや美紀が一斉にでてきた
淳が満面の笑みをうかべて
「アウトーー!!!」
といった
ゲストの松方弘樹が女みたいな声で
「お店でそんなことしたらだめじゃないのー!」と
俺の肩を叩いた
それから皆が笑った
美紀はうつむいて照れていた
淳を殴りにいこうとしたらケーブルにひっかかってこけた。








*美紀=恋人の名。




自由詩 LIVEALIVE Copyright 馬野ミキ 2005-11-14 04:37:17
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