冷たいキス *短歌もどき*
LEO

肩にかかる雨を解いて
湿った髪を指で梳いて
煙る匂いに瞼を伏せて
あの人がいた夜を
濡れた手の平に
描いている



 窓ガラス
 ふたつの顔を
 映し見て
 微笑む目と目
 雨の向こうで

 笑ってて
 顔をうずめる
 胸の中
 もっと近くに
 感じたい
 
 結んだ手
 重ねた頬が
 とけてくよう
 交した声も
 微熱を放つ

 いくつもの
 季節の雨を
 肩並べ
 ふたり見ていた
 今夜はひとり

 好きな表情
 揺るがない心情
 触れたきみ
 ひとつひとつを
 目が物語る
 
 泣いた日も
 笑った日々も 
 空の下
 きみに繋がる
 あすに繋がる

 雨の日は
 すこし寂しい
 会えるかな
 あしたのきみに
 笑って会えるかな
   


濡れた手の平
ほんのり暖かく
唇に雨は冷たく

時の移ろいを
静かに告げていく
 
 


自由詩 冷たいキス *短歌もどき* Copyright LEO 2005-11-08 14:56:47
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