落ち葉のプレリュード
恋月 ぴの

君の知らない深い悲しみを
僕は背負って生きている
そして君も僕の知らない過去の残骸に
足をとられては涙を流す


この街のプラタナスも深まる秋の気配に
すっかり色づき始めたよね


人は儚さと虚しさの境目で
ひとり立ち止まっては
冷酷な自らの運命に天を仰ぎ


優しさはやたらと涙もろくて
時の過ぎ行くままに
頬杖をついている


あの街の何処かに捨ててきたはずの
置いてきたはずの
やるせないしがらみに怯え
うなされる夜の果てに
プラタナスの落葉が降り積もる


ふたりは許されるのか
それは何時誰によりなされるのか
忘れようにも
忘れる事の出来ない悲しみの影に
君も僕も苛まれているのかな


ふたり手と手をつなぎ
プラタナスの街路を歩く
降り積もる落ち葉のあげる
悲鳴にも似た足音に
今は唯ひたすら耳を傾けていたい


自由詩 落ち葉のプレリュード Copyright 恋月 ぴの 2005-11-08 06:41:53
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