螺旋階段の天辺で
松本 卓也

螺旋階段の天辺で
摘んだ小石を力無く
放り投げてみたのです

放物線もそこそこに
乾いた音を立てながら
コロコロコロリと転がります

地上などとうに見えぬのです
勢い増した小石はやがて
穴に吸い込まれて行って

やがて砕けたのでしょうか
それともどこか気づかぬうちに
止まってしまったのでしょうか

螺旋階段の天辺で
小石を一つ拾い上げ
再び放り投げました

破片を飛ばして勢いつけて
カラカラコロリと行くのです
カチカチカツンと鳴くのです

転がりながら言うのです
もう止めたいと泣くのです
終わってくれと願うのです

誰にも聞こえていないけど
僕には聞こえた気がします
信じるしかありませんでした

螺旋階段の天辺で
小石を一つ摘み取り
もう一度放り投げました


自由詩 螺旋階段の天辺で Copyright 松本 卓也 2005-11-02 00:34:52
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