ふと、いらなくなる
チアーヌ

目の前のものが見えなくなって
アリジゴクの誘惑に身を委ね
家電量販店ではカードが飛び交う

もう何もいらないよ
暗闇の中に階段が見えるよ
ふと、いらなくなって
降りてゆけばいい

バラには一つ一つ名前がある
ミニバラにだって名前がある
けれど店先では
名前なんかいらない
みんな色だけを見て
買うから

ため息をついて
もういらなくなったものを思う
たまにトラックがやってきて
皆集めて持ってゆく

何もいらないよ
そう思っても湯水のように流れ落ちる自分
いらないよ
いらないよ
もう何もいらないんだってば

言葉も失って
できることはカードを出すだけ
どうか個人情報は世界中に
公開して
ください
磨耗されるように


自由詩 ふと、いらなくなる Copyright チアーヌ 2005-11-01 18:45:08
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