灯台に棲む夢を見たんだ 
本木はじめ

さっき見た夕暮れさえもほんものか千年あっても知るすべは無く
                                ETOILE



木漏れ日の揺れる街路でまばたきのようなひかりと影のくちづけ



錆び付いた時計を拾う夜の森なくしたすべてのじかんが騒ぐ



見ることのできないものが見える秋空に残った鳥の足跡



残像を追えば追われる僕もまた空の彼方に消える約束



花束を抱えて走る朝焼けの白く停滞している海辺



苔むした巨大な鐘に寄り添って大和の栄華と衰退に酔う



引き揚げるひかりあふれる青空に沈没しているあの日の午後を



桜貝あの日あなたがくれたからもうどうしてもなくしてしまう



迷い込む三千世界で探し出す枯葉の中のきみの黒髪



ぼくたちはいずれ季節に殺される名前も知らない花が咲く夜






短歌 灯台に棲む夢を見たんだ  Copyright 本木はじめ 2005-10-31 17:42:33
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