蛍追い
藤丘 香子

それがほしいのだという
網の籠を背負って
捕まえて入れるのだという

静かな息に
舞い上がり漂ったのち
重さを感じて落ちてくる頃に
掴むのだという

小走りに途切れて
靴音の後ろから呼ぶと
ほんのり丸い標が
瞬きの裏に
しんと
しぃんと浮かんでいる

燃えているのか
束の間に
遠く留まっては立ち昇り
燃えているのか

耳を澄まして
暫くは
零れた頃に見上げ

蓋をした先から
また
点々と翻った
それがほしいのだという




自由詩 蛍追い Copyright 藤丘 香子 2004-01-10 19:46:13縦
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