待ちぼうけ
恋月 ぴの

待ち合わせに遅れそうな時
メールひとつで済ませてしまう
嘘っぱちの言い訳も
おたがいの顔が見えないから
罪の意識を感じずに誤魔化せる


どこへ行ったか
寂しがり屋の待ちぼうけ


君と出会ったばかりの頃は
携帯なんて持っていないから
君の来るのを何時間でも待ったっけ
嘘っぱちの言い訳だって
ふたりして顔に出るからバレて照れ笑い


どこへ消えたか
寂しがり屋の待ちぼうけ


でも待つことは楽しかった気がする
傘もささず君の来るのをずっと待った
夜明け迄愛の訪れをひたすら待った
あの頃は思いを育む真剣さが
ふたりにはあったよね


どこにいるのか
寂しがり屋の待ちぼうけ


都会では木の根っこをさっぱり見かけないし
うさぎは、ふれあい動物園で
幼い残酷たちの慰みものに成り果て
思いやりを育む優しい心は
水遣り忘れたプランターの蔭で
ひっそり枯れていたのを
ふたりとも気づかない振りをする


どこで会えるか
寂しがり屋の待ちぼうけ


自由詩 待ちぼうけ Copyright 恋月 ぴの 2005-10-25 07:08:07
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