消えてしまいたい。
フユナ

ここに書き込むのは初めてです、フユナですコンバンハ。
「消えてしまいたい」というこの題名に惹かれた方に読んで欲しくて、
今日の自サイトから日記を転載したものです。
不幸自慢だと思われてしまうかもしれませんが、そう思われても構わないくらい、沢山の方に読んで頂きたかったのです。


今日、父が失踪しました。のっけから笑えなくて申し訳ないんですが。



ええと、一度目の三年前は確か、日記にも書かずに過ごしたんですが。
父が失踪しました。今回は、前回車のナンバーで発見されたので、車を置いていくという周到ぶりです。全然行き先の見当もつきません。


私の家はずっと落ち着くと言うことがなくて、ほのぼの家族らしい生活をしたのはここ一、二年のことでした。父が一度目の失踪から帰ってからです。父は自尊心がとても強く、いらんことまで言う天の邪鬼な性格で、持って生まれた頭の良さをもてあますような人でした。性格のせいで出世を阻まれるタイプです。詩を書く人に多そうですね(苦笑)



ですが反面、とても寂しがりなひとでした。一度目の失踪の後、いつも忙しい母が構ってくれるようになったのを、とても嬉しがっているようでした。ですが、やはり家に父を信じさせ、安心させる何かはなかったのでしょう。今となっては、わかりませんが。



何も、今日のことをひけらかしたいのではありません。自分の胸にどんな気持ちも秘めておくのは簡単です。ですが、私は父の性格に似たどんな人にも、こんなことをして欲しくない。自分に向けられている、家族やらだれかからの愛情に気付いて、それを信じて欲しい。この場所に居続けて欲しい。家族の中に、友人の中に。そして、捨てられる人の言葉に耳を貸して欲しい。



この一、二年、幸せでした。父と母が畑で作った野菜を食べて、父の得意げな話を聞く。家に帰ると、会話が少ないながらも居間に親二人が、和やかそうにお茶を飲んでテレビを見て笑っている。夜には、「歩いてくるから」といって二人で出かけていきました。映画にも行って、最近は家族旅行もしました。二年前には、二人で出かけただけで、「心中するんじゃないか」と弟が電話を掛けてきた両親が。
もう二度と帰ってこないだろう、幸せな昨日です。
私は最後に、昨日仕事に行く前、ビデオの予約を頼みました。これまで、ずっと怖くて(面倒なことを言うと嫌がって機嫌が悪くなるので)、父にものを頼むなんてしたことがなかったんですが。



父はもう帰ってこないだろうと思います。多分。でももう生きてさえいてくれれば、何も思わない。万が一帰ってきても、勿論構わない。私も弟も、どうしたって最後の最後まで嫌いにはなれないんですよね。
本当はこれを父に読んで欲しい。私はあなたのことを思っているんだと、どんなことがあっても、あなたのことを見捨てないのだと、知って欲しい。そうして、どんな性格でもいい、どんな物言いでもいい、側に存在していて欲しい。



きっと、これを読んでいるあなたにも、そう思っている人がいます。
あなたの性格やら物言いなんてどうでもいい、ただ近くに存在して欲しいと、
そう思っている人がいます。もし、心底「そんなやついねえよ」って思う方がいるのなら、私は思っています。あなたのことを知らないけれど、それでも私はそこに存在していて欲しい。


だから、今自分の周りにいる人たちと、この世界に存在することを、恐れないでください。




お目汚しでしたが。






散文(批評随筆小説等) 消えてしまいたい。 Copyright フユナ 2005-10-25 02:14:48
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