『ドリス、ささやいて』
プテラノドン

ガソリンスタンドの自動販売機は
ドリスのために置かれている、なんて話が
囁かれている人気のない小屋。雨風に曝された
プラチック板は、透明というより白濁色。
おぼろげな陽射しにあふれた―、そこに映る
物憂げなシルエットの持ち主。未成年のドリス達。
じゃれ合いながら煙草を吸っているが、油断ならない
まなざし。歳をとっても大人にならないといった様子。
だから彼等に愛された女性は幸せかもしれない。
成長すればするほど若くなるのだから。
 交差点ではかなしみのドリスが信号待ちしている。
今日は誰にも声をかけられなかった。
これから地下鉄に乗るつもり。
小雨が降ってきたし、あそこなら知り合いがいる、し。
と、いたるところでちりぢりに(無限に広がる)
夜を明かす灯とドリス。偶然を知らない神様は
ドリスを知らない。


自由詩 『ドリス、ささやいて』 Copyright プテラノドン 2005-10-20 20:28:35
notebook Home 戻る