「シ」は思考実験の「シ」
青色銀河団

みなさん、まず次の文章を読んでみてください。


なみだは
にんげんのつくることのできる
一ばん小さな
海です*

どうですか、読めましたか。
読めたと思います。簡単ですね。
それでは今あなたはこの文章をどんな声で読みましたか。
読んでいるときあなたのなかでどんな声がしましたか。
よーく聴いてみてください。
それは男の人の声でしたか。
女の人の声でしたか。
若い人の声でしたか。
年配の人の声でしたか。
それは誰に似た声でしたか。

それでは今度は、
自分で声を出して
もう一度読んでください。

どうですか。
いい声ですね。
今響いたあなたの声は男の人の声ですか。
女の人の声ですか。
あなたの声は誰に似た声ですか。

さあ、今度は目をつぶって
黙って、
文章をもう一度繰り返してみてください。

さっきの自分の声がしましたか。
違う声でしたか。
違うとしたら誰の声ですか。
今この文章を読んでいるのは誰の声ですか。
いつもあなたの中で響いているのは誰の声ですか。









安西先生、バスケがしたいです。

どうです、みっちゃんの声がしましたか。



*寺山修司少女詩集「一ばんみじかい抒情詩」




散文(批評随筆小説等) 「シ」は思考実験の「シ」 Copyright 青色銀河団 2005-10-12 22:39:03
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