詩人は傘を忘れる
銀猫

空が灰色クレヨンの日
風邪をひいた詩人はゆめゆめ思った


詩人たるもの
移ろう季節を誰より早く
探して言葉にしなくちゃいけない


詩人たるもの
少しはむつかしい漢字くらい
すらすら書けなくちゃ間が悪い

そうして
憂鬱のうつの字を
き かん き わ は ひ さん
と覚えておく

薔薇とか猥褻なんて字も
知っていて損は無い



若干微熱発熱に
浮かれた詩人はつくづく思った


詩人たるもの
誰より寂しさが得意でなくちゃいけない
片恋の透明が描けない

詩人たるもの
あまりいっぺんに気付きすぎちゃいけない
次のお題がなくなってしまう

詩人たるもの
筋骨隆々しすぎちゃいけない
身体よりこころがいつも少し勝っていなくちゃ
アウトドアライフをエンジョイしてしまう


嗚呼
詩人たるもの
たまには躓いて笑われること
それだってさらり言葉に出来なきゃいけないね


嗚呼 嗚呼
今日の空は何故こんな素晴らしい憂鬱色なのだ!
詩人は傘を忘れやすく
風邪をひいて咳をする




自由詩 詩人は傘を忘れる Copyright 銀猫 2005-10-09 12:34:47
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