降り来る言葉 XI
木立 悟



空の塊からかけらが降り
たぐり寄せる手管の風も降る
目に痛い青
耳に痛い青
一瞬の
張りつめた声
塊の背に立つ
塊の青


幕間を告げる声は降り
凍った公園に撥ねかえる
動かない時計が指し示す
動かない今に撥ねかえる
青の青の手は昇り
散らばる声を紫灰に還す


羽を持つ小さな輪唱たちが
羽を捨て去りなお空を越え
金のけだものの背の上で
金にかがやくうたを歌う
空さえ見えない光を請ううた
強く強く道なき道を願ううた
見たこともなく見たことのある
激しくかがやくけだもののうた


砂の火の上をつづいてゆく
燃え尽きることのない足跡
水彩にひらく時間のなか
すべての木が両腕をあげ
空を地の水に招いている
動かないひとつの冬のまわりに
兆しのように立つ雲の群れ


青と金のうた降りそそぎ
砂にまばゆく燃えあがり
白煙に閃くふたつの光
自身の足跡を見つめるけだもの
誰にも指し示されることのない
青と金の火の道をゆく






自由詩 降り来る言葉 XI Copyright 木立 悟 2004-01-05 21:46:18
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