時刻通り
A道化


雨上がりが
夕暮れに間に合ってしまい
その為に見てしまうもの、を
見ていました


結局は
全て冷えゆくというのに
明るみに出てしまったショベルカー、の関節
轟き続ける工場からたちのぼる終業サイレン、の空転、の空転
東の冬から断続的に凝固した鴉、のひび割れ
嗚呼、諦めの悪い光に掻き乱された輪郭たち
結局は冷え消えるものだというのに
一瞬、だけ
夕暮れ


そのあとは、時刻通りに
諦めたように飢えゆく視界でした
わたしは、損なわれ続ける視力でした
わたし、一歩ごとに
枯葉をアスファルトをわたしを踏み外し
辛うじて感知できるのは
必要以上に赤いブレーキランプ、の綻び
その跡と、その跡と、その跡
それだけ


雨上がりが
夕暮れに間に合ってしまい
その為に、夜には
嗚呼、一層荒々しく、冬の骨が露呈するのでした




自由詩 時刻通り Copyright A道化 2004-01-05 20:38:42
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