夢から覚めた男
プテラノドン

雨がふっている。窓に滴が垂れる。
昨日までずっと眠っていた男が、長屋から降りてくる。
おしゃぶりをくわえて。それは二人目の母親が
くれたものだが 彼女はもう生きていない。
男はまだ眠ったままの口を起こしてから
たくさんのことを 彼女に話そうとしていた―
小脇に抱えたノートは、「金の卵の産ませ方」や
「うお座を盗む猫の話」など、はるか遠い地のことを
記した文字で びっしりと埋まっている。
男はそれだけじゃなく真っ白な恋文も書いた。
空っぽの教訓 なすべきことは様々だが
渡すつもりだったのだ。彼女に、一人目の母親に。


自由詩 夢から覚めた男 Copyright プテラノドン 2005-10-05 18:35:06
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