BOREDOM
大覚アキラ
左肩に星のかたちのタトゥー
唇にはフランスの煙草
彼女はいつも退屈してる
なにもかも
呆れるぐらいあっという間に終わっていくから
暇つぶしにもならない
そう つぶやいて
彼女はテレビをつける
音量を絞りきった真夜中のテレビでは
耳慣れない名前のボクサーが
顔を血だらけにして殴り合っていて
観客は全員 目隠しをされたまま眠っている
もしかすると観客は
全員 マネキンなのかもしれないし
あるいは 死んでいるのかもしれない
いずれにせよ
退屈で
退屈で
死ぬほど退屈なことに変わりはない
彼女はテレビを消して 部屋を出て行く
灰皿に残された 吸いかけのフランスの煙草
音のない部屋の中で煙だけが
螺旋を描きながら ゆるやかに消えてゆく
昨日の夜
帰ってこなかったから
どこかで
死んでいるのかもしれない
自由詩
BOREDOM
Copyright
大覚アキラ
2005-10-05 03:05:34