いろ てまねく いろ
木立 悟





街のすみの
白い白い花を
夜へと向かう暗がりのなか
したたる滴を追うように見つめる


からだが少しずつ咲いてゆく夜
時間と穴と痛みたちの夜
すべての窓と見つめあいながら歩く
耳もとの風が応えすぎる夜


碧の蛾がひとり
硝子の上をまわる
空と雲を引き離す手をすりぬけ
鉄の光は直ぐに昇る


雨を廻す手
蒼い蒼い手
音はあとからあとからついてくる
赦されぬもののようについてくる


羽のための羽も
腕のないもののための羽も
ひとしく ひとしくなく香り
涙のなかの夜に触れる


小さな色はまだ眠らずに
渦の行方を言い当てて
並び 入れ替わるふたつの季節の
遠去かる光を浴びつづけている








自由詩 いろ てまねく いろ Copyright 木立 悟 2005-10-04 14:30:52
notebook Home 戻る