気づかなかったもの
炭本 樹宏

 当たり前のように過ごしていた
 それは奇跡の連続で
 僕には身にあまることだ

 人生と言う生き物に
 命を吹き込んで
 群集のなかでも生きていたい

 ウイルスが散乱している世の中で
 守りばかりが強くなって
 息苦しい僕は
 明日を信じることにした

 突然
 不幸の手紙が届けられる
 気楽には生きられないご時世だ

 それでも
 心の瞳であなたを見る

 あなたの優しさ
 心の支えになってくれてたこと

 夜の帳がおりて
 独りきりの部屋で
 猫にやつ当たりなんかして
 自己嫌悪

 しばらく涼しげな風にあたり
 星空を見上げて
 はかない祈りを捧げると
 あなたの温もりを思い出したよ

 気づかなかった
 あなたの
 愛情に満ちた瞳を









自由詩 気づかなかったもの Copyright 炭本 樹宏 2005-10-03 01:10:13
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