ふるえ Ⅱ
木立 悟





高い夜
低い夜
地が空へ向かう夜
遠すぎる火をあおぎながら
あまりにも廃墟に近づきすぎていた
雨が緑を照らしていた
小さな葉が群がり
石と石をつなぐ力にしがみついていた



朝の渇いた土から
生まれ出ようとする痛みが見まう
目に入り込んだ何かが
空の限りに燃えひろがる
雨の陽の青
音のような一日
ふたたびの雲
手をひらき
火をこぼしながら
原のなかに立つもの



小さな笑みは重なっていった
消えかけた火を動かしていた
涙が流れ かわき
誰にも読めない言葉になった
砕かれた石の火が道に散らばり
どこまでも外れてゆこうとする
ひとりの行方を抱きとめていた








自由詩 ふるえ Ⅱ Copyright 木立 悟 2005-09-28 10:06:19
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