ボイルドエッグ
恋月 ぴの

剥きにくい茹でたまごの殻を
無理やり剥いてやる


ボロボロに崩れた茹でたまごは
僕らの関係と一緒だな
つるんとした君の頬を愛したのは
遠い昔のお伽話
だから
「もう秋だなあ」なんて
東京の空に呟いてみる


背中のファスナーを引き下ろし
白くつるんとした君の背中に
はじめて口付けしたのは
遠い昔のちょうど今頃の季節


台所から眺める東京の空は
あの頃のままなのに
かわったのは女ごころと秋の風


自由詩 ボイルドエッグ Copyright 恋月 ぴの 2005-09-27 06:15:35
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