午後と鏡
木立 悟




背を追いたてる響きがある
歪みを映す光がある
遠い道から見つめるものの目
暗く乾いた熱のような目



異なる滴は異なるまま
鏡を流れ落ちてゆく
やわらかくはならない
混ざることもない
ただ重なり
離れてゆく



とどくもの
つもるもの
緑を抱きとめてゆく金の
ほのかなかたち
大きな水たまりに揺れる
ほのかなふちどり



雲間の星座の呼吸から
ふくらみと湿り気は降りおりて
野に路地に川にはずみ
低いところへと満ちていき
坂道を水の背に塗り変えてゆく







自由詩 午後と鏡 Copyright 木立 悟 2005-09-26 18:11:16
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