*もこ*もこ*
かおる

曖昧模糊のもこちゃんは
啓蟄の頃のヘッジホッグの同類である

もこちゃんは悪夢をムシャムシャ食する貘の遠い親戚で
ペガサスやユニコーンとも従姉妹筋かなんかじゃなかっただろうか

もこちゃんをツチノコのように実際に捉えた人はまだいない



もこちゃんはこの頃 魔法をかけられたようで
蕾のまま どちらにも行きようがなく戸惑っている

降ってくるスイッチオン 
スイッチオンという怨嗟の鳴き声で
慌ててそちらに向かおうとすると
ジジジジとかき鳴らすサイレンで嫌々まだまだと
夢から覚めたように夏を引きずっている

すると緑も澱んで発酵を始め グズグズと燻るようにくすんでいく



もこちゃんに加勢するように風が
北から爽やかと言う垂れ幕を引っ張ってきても
寄せては返す季節の狭間は台風の目のようで
グルグルと
指針も決めかねて 目を回して伸びている始末である



オ〜イ、もこちゃん
風見鶏はどこを目指しているの

もこちゃんも もういい加減
はっきりしなくてはいけないなとは思っている



夜は秋のオーケストラのコンダクターとして
立派に職務を全うしているのに
昼間はお日様の圧力にどうも負け気味です

先日の満月の日はウサギさんの
餅つきに会わせて秋のリズムに全世界を染め上げ
時々雲のヴェールをドライアイスのような舞台効果として
ふっと
登場させる憎い演出までする苦労人でもある




ぼやけていく季節の不透明な空気は
闇に溶け込んで
怠惰から色づく感情へと重心を移動していく
もこちゃんはどうも未だに怠惰が好きなのかな



(忘れ物はありませんか)
もこちゃんはハトバスのコンダクターのまねがお気に入り

もこちゃんは冬将軍に実はプロンプターを持たせていて
ファザコンの北風小僧の寒太郎に
意地悪をされているのに気づいていない

発光の時は きの趣くままのようで
(体感7度までしばらくお待ちください)
もこちゃんは深々とお辞儀をしております


自由詩 *もこ*もこ* Copyright かおる 2005-09-23 22:28:17
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