午後と黄金
木立 悟





轡の火
午後をめぐり
片翼の会話
道にまたたき
よみがえる


窓をあけ
両腕をひらくかたちの影が
飛び立とうとする鳥に重なる
はばたきはかがやく鉱を持ち
にじむ軌跡を空に描く


爆ぜる火の輪
降りる黄金
葉から葉へわたる滴を
呑みこむように見つめる猫
音に沿って
世界の刃こぼれに沿って
爆ぜる火の香
降りる黄金


曇の奥に時は昇り
海はすべて光に変わり
平野を川を台地を呑み
小さな音のはじまるところ
生まれ落ちたところへと連れ去ってゆく


淡くまたたく霧を残し
雨は町から飛び立ってゆく
さまざまなかたちの羽の影が
午後を揺らし
光を散らし
遊ぶように 語るように
螺旋の陽射しを駆け昇る








自由詩 午後と黄金 Copyright 木立 悟 2005-09-23 14:17:14
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