その先進むべからず
紫音

大きく手を広げて
虚空に円を描く
円の真ん中に
吐息を吹きかける
意味の無い行為

足の指を広げて
靴底を踏みしめる
指と指の間に
力を込めてみる
意味の無い行為

無意味に満ちた街に
無意味に屹立する塔
芸術という名の
奇怪な形をした必然

意味を辿るな
意味を探るな
意味を求めるな

二本の足で立った時から
意味は無意味を補えはしなかった

そこに落ちている石ころに
意味も無意味も無いように
きっとここには
無意味な意味だけが満ちている

満月が照らす道の真ん中に
転がって深呼吸


自由詩 その先進むべからず Copyright 紫音 2005-09-23 00:53:41
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