夜のむすめ
木立 悟





夜のむすめ
生まれては
光を指して
おとうさん
火の花です


線の川です
おとうさん
夜から夜へ
伝わります
おとうさん


めざめます
ふちどりが
めざめます
おとうさん
たどります


髪の毛です
消えてゆく
遠い明かり
おとうさん
星の背です


きこえます
おとうさん
水のなかに
ひろがる歌
とどきます


流れの端に
光があたり
おとうさん
もうひとつ
現われます


ゆらゆらと
白い火です
おとうさん
浅瀬の水に
朝が来ます


羽をひらき
光をこぼし
寂しく拾う
おとうさん
牙の鳥です


来た訳さえ
去る訳さえ
知りません
さようなら
おとうさん


外の影から
内の洞へと
滴のように
遠のく震え
夜のむすめ









自由詩 夜のむすめ Copyright 木立 悟 2005-09-20 18:32:22
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