静かな風が吹き始めます
青色銀河団

――静かな風が吹き始めます。
  感情は涙のように滴り、
  バラの花びらが、
  ぼくらをどこか知らない遠くへと招く。

ようやくちいさな春がやってきた。
ようやくちいさな春はやってきて、
白い歩道の
青い影が涼しい小学校へ続いていった。
風が薫る夏の日には、
そっと紙飛行機を飛ばした。
紙飛行機は、
真直ぐに
地面に墜落した。



終わりのために始まりはあるのです、
と先生は言った。
ずるい先生。
新しい缶詰のようにいつだって、
ぼくらの学級は淋しいのだから。
もうすぐ鳥篭も空っぽになり、
渦巻き雲のあの空へは
もう戻れないのだから。



手にしたナイフは
懐かしい夕陽の匂いがする。
都会に眠る者として羽はいつも黒く濡らしている。
食物を飲み下すと、
どこかで静かに血が流れだす。
その傷口は古く細く
どこまでも続いている。

もはや
ささやかな恐怖だけが、
ぼくらの生きる糧なのです。


自由詩 静かな風が吹き始めます Copyright 青色銀河団 2005-09-19 19:00:51
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