古式タイマッサージ
狸亭


ぼくにはあしが二本あり
うでが二本ある。
どうたいが一つあり
しかもそのどうたいには
おもてがあり
うらがある。
あたまが一つ、かおが一つあるのだが
左のあしを三十分
右のあしを三十分
あしにくらべると、うではみじかいしほそいから
かたほうについて十五ふんずつ
どうたいのうらおもてそくめんと
あたまとかおはもうしわけのようで
まとめて三十分。
ぎゃくえびがため
さばおり
あしをまげたり
うでをねじったり
どうたいをもちあげたり
さんざんもまれおされこすられ
かいかんにしびれたり
いたみにわめいたり
さけんだり
なんと二時間もかかって
すみからすみまでほぐされて
ぼくはどこかにきえてしまった。

 (押韻定型詩の試み 25)


自由詩 古式タイマッサージ Copyright 狸亭 2003-12-31 06:54:35
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