夏と秋のさかいめは、きっとこんな夕暮れ
ベンジャミン


幼い頃に覚えた童謡を口ずさんでみれば
なぜか悲しい気持ちがわいてきて
もしかしたら
うたの歌詞が悲しいのかもしれないと
確かめるように繰り返してしまう


夏と秋のさかいめは
きっとこんな夕暮れ


思い出の輪郭をなぞるように暮れてゆく
ありふれた今日の終わりに
ふとこみあげてきた淋しさが
君をオレンジ色に染めてゆく


夏と秋のさかいめは
きっとこんな夕暮れ


駅の近くの踏み切りで
電車の突風に吹き上げられれば
遠のいてしまいそうな意識を唇で噛み締めて
足元の視線を引き上げようとする


夏と秋のさかいめは
きっとこんな夕暮れ


商店街をかけてゆく風には
まだ夏の香りが混ざっていたから
少しだけ追いかけてみたくなったけれど
明日に向かうためには
前に進まなければいけないと

夏に背を向けて
歩き出そうと思えるのも
そう


きっとこんな夕暮れ
  


自由詩 夏と秋のさかいめは、きっとこんな夕暮れ Copyright ベンジャミン 2005-09-16 15:51:50
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