ノート(夜のあいだ)
木立 悟
車と車のあいだに
紙袋が泳いでいる
青信号が
すべてを引き裂いてゆく
地鳴りの夜と
静けさの夜のあいだに
やがて売られてゆく木々が
育っている
もう動くことのない機械が
折れ曲がり
なかば土にうずもれ
浅い地獄を見ている
白い雲と
もっと白い雲のあいだに
割れたふたつの器があり
言葉をこぼしては泣いている
誰も乗っていない自転車が
幾つもの駐車場を走り抜け
地に散らばる光を引き連れて
うたとうたのあいだに消えてゆく
自由詩
ノート(夜のあいだ)
Copyright
木立 悟
2005-09-14 22:19:05