星港
狸亭

血みどろの肉塊みつめ ふるえおののく
愛死の恐怖に そそぐ熱湯の滝
ほとばしる白い飛沫でも消せない記憶
耿耿と夜空にうかぶ 摩天楼の秋。

欲望の体系埋めてねむれる都市の
清潔な熱帯の緑は 現実を越へ
燃えるもの 悲しいもの 生臭いもの
なにもかも モダンの嘘に染めかへ

星港は美しすぎる人工都市だ。
空を刺す抽象的な高層ビルの林立
あかるい昼 あかるい夜 とうめいな懶惰
拒絶され失われた母語 明快な孤立。

切り取られ制御された映像のように
目の前になげられた とてもやわらかい
カトリーヌは たおやかに舞うと 夢のように                   
肉体を消して 星港の夜は空中に分解。

 (押韻定型詩の試み 24)



自由詩 星港 Copyright 狸亭 2003-12-30 10:55:19
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