「 地底人さんがんばる!。 」
PULL.
地底人さんの朝は早い。
日の昇る前から働いて、
せっせせっせと働いて、
日が暮れたって、
月が笑ったって、
まだ働く。
地底人さんは穴を掘る。
くる日もくる日も、
あくる日も。
地底人さんは穴を掘る。
やっぱり掘る。
ツルハシに魂込めて、
どんかちこ。
太陽がなにかも知らない。
そんなもの見たことない。
だけどね。
地底のことは、
なんだって知ってるんだ!。
そんな地底人さんも、
おうちに帰れば家庭人。
奥さんの、
尻に敷かれて、
お小遣いも少なくて、
いつも頭が上がらない。
けれどね。
地底の果てまで、
奥さんを愛してるんだ!。
ツルハシに愛情込めて、
どんかちこ。
モグラくんにも負けず。
ミミズくんにも負けず。
不屈の地底人さんは、
今日も掘る。
こんな地底人さんは、
がんばるって言葉が嫌い。
がんばれって言葉も嫌い。
やっぱり嫌い。
ますます嫌い。
誰から言われたって、
それでもやっぱり大っ嫌い。
だからね。
地底人さんに、
がんばってって言ったら、
だめ!。
なぜって?。
ほんとに知りたかったら、
ためしにこう叫んでみよう。
地底人さんがんばれ!。
そして、
足下の地面に耳を当てて、
よーく聴いてごらん。
ツルハシの音が聞こえない?。
それはね。
地底人さんが、
怒りの落とし穴を掘っている音。
地底人さんの反撃は早い。