ささやかに
かぜきり

彼はつながる
無数のかげを
今日もなにげに
ながめるだろう

いつかに沈んだ 船の名も
隣に立った 友の名も
懐かしさのみを携えて
渡したまへと伝えてくれる

彼につながる
無数のかげは
今日をなにげに
ながめるだろう

気づかず欠けてそよぐこころも
捨てずに削げてまどうからだも
まだまだそこにあるよといって
つねにとどまりほほえみかえす

彼はつながる
無数なかげと
今日のなにげを
ながめるだろう

暮れなずむ家たわんだ回廊
  熟れた柿ノ木煤けた倉庫
    つづらにたばさみ解を夢する きしむ柱の古時計

うらがえりもせずともを刻みて
誰かのかえるこの場所で
ひとりおぼえた
あつい味噌汁
上手くできたと微笑んで


自由詩 ささやかに Copyright かぜきり 2005-09-11 16:19:25
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