蕾ひらく
銀猫
わたし、という曲線を
無謀な指が
掌が
少しの優しさも無くなぞる
書院窓の向うでは
秋の長夜の鈴虫が
交尾の羽音で月の影絵を滲ませて
こっちにきて
こっちにきて、と啼いている
あなたは
地熱のような呪縛で
尼法師の衣を剥ぎ取って
東の空に
暁さすまで
ここにきて
ここにいて
白い白い朝の中で
わたしが
ぽん、と
開くまで
釈迦の足元でしどけなく
わたしが眠ってしまわぬように
自由詩
蕾ひらく
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銀猫
2005-09-09 09:16:33
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鏡のくに