空を飛ばないダチョウにも翼がある
ベンジャミン

飛ぶ夢を見たことがある


動物園のダチョウはすっかり砂にまみれていて
それはつまりダチョウの習性であって
その目的は害虫を防ぐことだ

そんなダチョウに翼があることは
どうにも不自然に思えてならないのだけど
それを尋ねたところで返事がくるわけでもない

どうして翼を持って生まれたのかということは
どうして僕がこんな人間に生まれたのか
という疑問に似ている

いつか見た夢の中で

僕は人間であるにもかかわらず空を飛んでいた
それが何故か
砂にまみれたダチョウの姿と重なってならない

どうにも歩き疲れてしまった

立ち上がる気力さえ無くしてしまったときにでも
何処かへゆこうと思えば
二本の足に力を入れてこの身体を動かそうとする

それはきっと本能と呼ばれるものだ

ダチョウはかつて空を飛んでいたのだろうか
ふとそんな疑問にかられても
それを見たという人はいないだろう、そして

僕が見た夢の中で
鳥のように飛びまわっていたという僕自身もまた
そうであるように


空を飛ばないダチョウにも翼がある
ように


僕は与えられたものの意味を真剣に考えてみる
     


自由詩 空を飛ばないダチョウにも翼がある Copyright ベンジャミン 2005-09-06 02:19:44
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