温泉街
渡邉建志

温泉にいた。ぼくはKさんと二人っきりで露天風呂に浸かっていた。Kさんは恋人にふられたと言う。二人でそのふられ話をしていると、 Kさんは感極まったみたいでぼくに抱きついてくる。腕に胸の感触がする。

温泉街を自転車で走っていた。Kさんはぼくの自転車のバーに座って二人で走っていた。なんだか恋が始まったみたいだった。

ある日、ぼくはひとりで街を歩いていた。Kさんと別れた男が建物の壁にもたれて立っていた。彼の頭上には蔦の絡んだアーチがあった。
彼はぼくを呼びとめ、ぼくが近づくと、しづかに口づけをした。柔らかい唇だった。


未詩・独白 温泉街 Copyright 渡邉建志 2005-09-03 22:48:37
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