密告日和
A道化





残暑が、高らかな色彩吐露を
自ら慎みはじめている
少しでもぶり返せばそれは
奇声、とひとことで片付けられる


薬を拒んでも、夏は引いてゆき
もう夏風邪とは呼べない何かと
氷枕として用いた冷たい夢とが
こめかみの辺りに張り付いている


それでも
午後は午後です。
感情を発熱することを諦めた夏
の方角へ、心を込めて眼を瞑る


すると耳へと注がれる
秋、という、純度の高い密告に
疑いを掛けるほどの熱を、もう誰も
ああ、わたしも、探さないだろう



2005.9.2.


自由詩 密告日和 Copyright A道化 2005-09-02 09:51:45
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