見つからない妖精
kw

妖精が見えるという
塗り薬を瞼に塗って
赤から黒に濁りゆく
暮れの森へ出かけた

不可視
青年の瞳が捉えたのは
影絵の集合
寂しい墨色の森

ざわざわざわ
木の間を流れる風が
葉を揺らし
幻聴誘う
妖精の足音として

塗り薬のビン底を叩き
かぶれるまで塗りたくる

不可視
青年は気づかない
踏み砕いた
薄く透明な羽に

あまりに小さくて


自由詩 見つからない妖精 Copyright kw 2005-09-01 14:13:43
notebook Home 戻る