これまでにいったい
いくつの財布を使い
いくつの財布を捨ててきたんだろう
ある年齢を過ぎた頃から
新しい財布に買い換えても
それまで使っていた財布を
捨てることができなくなった
だから
我が家のある引き出しの中には
きっともう二度と使うことのない
おんぼろの財布が
いくつもいくつも眠っている
捨てられるでもなく
使われるでもなく
ずっとずっと
いつまでもずっと
暗い引き出しの中で眠るんだ