永遠のようなもの、をたずさえて
たりぽん(大理 奔)

夕日を映した紅色の花を、永遠にするために
透明な棺桶にアクリルを満たす

飼っていた犬の面影を、永遠にするために
AとT、GとC・・・塩基対の配列を玲瓏の棺桶に刻む

光の秘密を刻んだ虹色を、永遠にするために
標本箱にChrysochroa fulgidissima fulgidissimaを打ち付けた

(あるいは、迫害された聖職者のように)

あなたとの真実を、永遠にするために
透明な住処に、愛の希薄な嘘を満たす

あなたとの秘密を、永遠にするために
ポリエステルフイルムに塗布された感光剤に、私を打ち付ける



もうすでに、
二人は巡礼の旅人のようだ
楽園にむかうために虚しく真言を唱え
静かなる祭壇に偶像を捧げ
永遠のようなものをたずさえて
裸足で歩いていく



無限よりも尊い旅
足の裏に痛みを感じながら
永遠より先に来る

必ず、その時にむかって







Chrysochroa fulgidissima fulgidissima:ヤマトマタムシ



自由詩 永遠のようなもの、をたずさえて Copyright たりぽん(大理 奔) 2005-08-22 23:35:17
notebook Home 戻る  過去 未来