へりくつ
アンテ


きょだいな
へりくつのかたまりが
そらからおちてきて
まちのたいはんをおしつぶした
こうえんのかぞくづれも
やくばのひとたちも
へりくつのまえでは
ひとたまりもなかった
みんなのつごうやら
どくせんよくやらが
もうもうとたちこめるなか
なんとか
まちはずれのおかにたどりつくと
ひとがたくさんあつまっていた
おもいだしたように
へりくつのかたまりがおちてきて
そのたび
まちのどこからか
かなしいおとがきこえた
ぼくのせいじゃない
だれかがつぶやいた
だれも
なにもいいかえさなかった
まちをおおったもやは
つよいかぜにあおられて
ながされていった
とおく
とおくへながされていった



                          「へ」
                     あいまいなきもち




自由詩 へりくつ Copyright アンテ 2005-08-19 00:21:50
notebook Home 戻る
この文書は以下の文書グループに登録されています。
あいまいなきもち