玄関
チアーヌ

玄関の靴脱ぎ場で
わたしはあなたと話をしていた
あなたの欲しい不動産の話
わたしの欲しい不動産の話
玄関のドアは閉まっていた

肩にかけた鞄
夏の玄関は暑く隙間もない
わたしは不動産を見る
間取り
間取り
間取り
今度はどの部屋にしようか

そのうちに
鉛筆を持った男が
玄関のドアを開け
入ってきた

知らない男

夢を見ているのかもしれない
鉛筆を持った知らない男が
鉛筆を持ちながら
刃物を探してる
わたしの家の中で

わたしはすり抜けて玄関の外に出る
逃げる
物陰に隠れる
すると
携帯電話を持ったあなたが
立っていた

何人もの私服を着た人が
わたしの家の中に入っていく
男を捕まえるため
わたしはほっとする
そして誰もいなくなり
わたしはドアを開け玄関に入る

すると背中のほうで
がちゃ
がちゃ
がちゃ
簡単な鍵が
開けられようとしている
うちの鍵は簡単だから
取り替えようと
何度も何度もあなたが言っていたのに
わたしはのぞき窓からのぞく
歪んだ知らない男の顔
怖い
わたしは必死で鍵を閉める
チェーンをかける
でも簡単な鍵はすぐに開けられる
だから何度も閉める
開く
閉める
開く
閉める
開く


自由詩 玄関 Copyright チアーヌ 2005-08-18 22:44:14
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