さくらの想い
たりぽん(大理 奔)

記憶と想い出は
にていて、ときおり
くべつがつかなくなる

枝に懸かる
満月
いま、そこにあるのに 
想い出のようで
あの 夜のように
そう凍るように美しい

ひゅうと、あしもとの風

不意に桜のしたでふるえる
「寒い」というと、みんなは
「花冷えだからね」というけど
ほんとうは花にふるえたのだ

厳しく暗い冬の中
月夜に似合う華やかさを
ただ咲かすため
育んでいた桜の樹の
その姿を想い

冬という季節のせいにして
見えないふりをした
おろかさに
ふるえが
止まらなかったのだ

あのひとの
私への想いに
気付かなかった
心に







自由詩 さくらの想い Copyright たりぽん(大理 奔) 2005-08-15 17:29:15
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