グレープフルーツジュース
A道化





テーブルから
持ち上げたグラスの跡の
丸い水溜りをかき乱した指が濡れた。
夏の熱が引いてゆく。



グレープフルーツジュース。
そのグラスを頬に当てれば
あ、この匂いを、わたしは
この匂いを知っている?
ああ、仄明るい、微かな白濁、そこに
そこにわたしは何かを忘れている?


グレープフルーツジュース。
グラスを当てた頬が濡れる。
指で拭ったら
指も濡れている。
夏の熱が引いてゆく。



2005.8.12.


自由詩 グレープフルーツジュース Copyright A道化 2005-08-12 11:03:02
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