渡邉建志

むかし
きみは白い服をきて
なにもいわないで立っていた
きみがはじめてことばを言った
とてもなぞめいていた
(わからないことばはとてもやさしい)
それからきみは
古本屋へ通う
そとは小雨が降っていて
きみは傘を差す
部屋できみはしらない言語の本をたくさん読み
ときどきちいさなたまごを吐く
たまごはつるつるしていて
ちいさな文字が彫られている
がんばって読むけどなにもわからなかった


未詩・独白    Copyright 渡邉建志 2005-08-09 14:13:38
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